Good Dog Happy Men vol.1


豊かな過去のロック・ヒストリーにインスピレーションを得たアルバム『the GOLDENBELLCITY』以降、メンバー2人の脱退に見舞われたGood Dog Happy Men。脱退が決まった夜、偶然手にしたギターから新たな旅を始め、暗闇に一筋の光明を見いだした彼らが完成させたセカンド・アルバム『The Light』は混沌とした今の時代をどのように照らしてくれるのだろう?

今の時代は知性とユーモアとパッションが見えづらくなっている。


──Good Dog Happy Menは、50年前から現在まで続くロックの歴史を架空の街の風景に封じ込めようと試みたアルバム『the GOLDENBELLCITY』を'07年に発表しました。その対比として、今の音楽状況に関してどんなことを思われますか?
門田「俺は懐古主義者ではなく、知性とユーモアとパッションが伝わりやすい音楽だったら最高だと思っているんですけど、今はテクノロジーが発達していて、例えば、どのバンドを聴いても、同じ音処理をしているから、シンバルの音が一緒だったりして、そういう要素が見えづらくなってしまっている。つまり、誰が弾いているのか、その音を出すのにどんな意味があるのかという根本が考えられなくなってしまっているということ。でも、ドラムをどう叩くのか、ベースをどう弾くのか……そういうこと全てが、俺は詩だと思っているし、知性とユーモアとパッションの出所を自分でふさぎたくないんです」

──そんな大作アルバム発表後、昨年、メンバーが抜けて、Good Dog Happy Menは4人編成から2人編成に変わったんですよね?
門田「このバンドは4人の幼なじみで始めたバンドなんですけど、バンドを組む時に友達だけでどこまで行けるのかっていうファンタジーがあるじゃないですか。2009年に今の2人体制になったことで、去年一年はそのファンタジーの何をなくして、何が残っているかってことをすごくよく考えましたね」
Good Dog Happy Men vol.2


今回のアルバムはパーソナルな、エモーショナルな作品になっています。


──バンドや音楽の根本に立ち返った後、2010年以降、どんな音楽を作ったらいいか。どんなことを考えられましたか?
門田「今回のアルバム『The Light』を作るにあたっては、新陳代謝が出来ないまま、ただ日々が過ぎていく期間が長かったんですけど、2人体制になることが決まった夜、家で何も考えずにギターを持ったら、今回の1曲目“SHINE A LIGHT”が出来たんですよ。その“SHINE A LIGHT”は自分にとって、リズム、メロディ、ハーモニー、言葉、知性、ユーモア、パッションっていう7大要素がバランスよく存在する音楽だと思っているんですけど、そういう音楽は俺にとって夢と希望を与えてくれるものなんですね。だから、Good Dog Happy Menの音楽が多くの人に届いたら、日本の音楽シーンは活性化されるはずだと思って、その思いに突き動かされながら、“SHINE A LIGHT”が出来た瞬間から今回のアルバムは始まったんじゃないかって。そういう意味で今回のアルバムはギミック的なものはなくて、パーソナルな、エモーショナルな音楽になっていると思います」

──つまり、相対的な考えのもとで作られた前作に対して、今回は音楽が生まれる瞬間にフォーカスを当てた主観的な作品だと。
門田「そうですね。今回は考えながら進めていく余裕がなかったこともあるんですけど、音楽で夢と希望を体現しなきゃという思いに突き動かされたところは大いにありますね」
Good Dog Happy Men vol.3


自分の広告代理店をやめた瞬間だけを音楽にするということ。


──今はネットにしても、PCを介した音楽の作り方も含め、目に見えない音楽がよりヴァーチャルなものになってきていますが、そんななか、実感を伴って、いまおっしゃった思いをいかにしてリスナーに届けるか。
門田「人と接していて、はっと思う瞬間は、その人が自分の広告代理店をやめた時だと思ってるんですね。ネットっていうのは、なりたい自分になることが出来るメディアというより、なりたい自分であると人に思わせることが出来る媒体じゃないですか?」

──自己プロデュースして、自分のことをよく見せることが出来ますよね。
門田「そう。そこで止まってしまったら、人との関係性はものすごくつまらないものになるし、人生の面白みも失われてしまう。音楽をやっている時、そういうことをふと考えるんですけど、曲が出来る瞬間だったり、真剣にライヴをやってる瞬間っていうのは、装っていたものがはがれ落ちる瞬間なんですよね。だから、今回の作品を作るにあたっては、自分の広告代理店をやめた瞬間だけを音楽にしようと思いました。俺は一回聴けば、その曲の成り立ちが分かってしまうから、俯瞰して、取り繕った立ち位置を見つけて、そこで音楽を作るのは簡単なんですよ。だから、取り繕うスキルを捨てること。それをするのは簡単ではないんですけど、自分の広告代理店をやめた瞬間だけを提示し続ければ、分かってもらえるんじゃないかって」
Good Dog Happy Men vol.4


暗闇の中で一つだけ強い光が出ている、そんなイメージ。


──そんな希望の光を探した今回のアルバムは、ダークなタッチのアートワークをドラムの内田さんが描かれていますけど、暗闇で猫の目がきらりと光っていますね。
門田「アートワークに関しては、(ドラムの内田)武瑠と話しましたね。俺から注文したのは、暗闇の中で一つだけ強い光の出ているものにしたいということ。前作の『the GOLDENBELLCITY』は混沌を象徴するような、乱雑な街の景色が描かれていたんですけど、今回はそれらが全て終わった後、ファンタジーだったものが全て暗闇になってしまったと。だけれども、その中に一つだけ強いエネルギーがあって、そのイメージを描いて欲しかったんです。ちなみに“歌詞カードの部分の絵は暗闇で落としてしまったものを影で表現している”と武瑠は言ってました」

──そんなGood Happy Menの音楽がどんな風に広がっていったらいいなと思います?
門田「このアルバム1枚で高望みは全然してませんね。続けていくことに意義を感じているから。もし、このアルバム『The Light』で届かない人がいたら、その次のアルバムを届ければいいだけの話だし、そうやって俺らの音楽から放たれる光がより強くはっきりしたものになるように今後も続けていくだけのことです。茶道とか柔道がそうであるように、俺らがやってることは道だと思っているし、なによりGood Dog Happy Menの音楽は完成してないですからね」


『The Light』
tearbridge
発売中

グッド・ドッグ・ハッピー・メン
2004年、幼なじみの4人で結成されたロック・バンド。インディーズでの活動を経て、2006年10月にミニ・アルバム『Most beautiful in the world』でメジャー・デビュー。2007年11月にファースト・フル・アルバム『the GOLDENBELLCITY』をリリースした後、2009年にベースとドラムが脱退し、門田匡陽(Vo.G)と内田武瑠(Drum)の2人体制での活動を行っている。

OFFICIAL SITE http://www.gooddoghappymen.com/


photo:横江淳 interview&text:botra編集部
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